日記をつける/荒川洋治
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- 読書感想
『日記をつける (岩波現代文庫)』という本を読みました。
この本では、文学作品に登場する日記や、歴史上の偉人などがつけた日記などを見ながら、その日記の面白いポイントが紹介されていたり、「こんなふうにつけてみたらどうか」という内容が書かれています。
テクニックやノウハウというよりも、あくまで著者の「こう考えるんだけどみなさんどうでしょう?」という、寄り添うような雰囲気が心地いい。
日記をつけたくなる
いろんなスタイルがあって、それぞれに個性や楽しみがある。そんな日記が数多く紹介されているので、読んでいると自分も日記をつけたくなります。この本に影響されて、私も日記をつけはじめました。アナログも楽しそうだなと思いつつも、気分に合わせてアナログでもデジタルにも気ままにつけています。
本書に
日記は、日記では終わらない。そこからいろんなものが、生まれるからである。エッセイや、詩になる。俳句にも、歌にもなる。小説になることもある。日記は、ときに作品へと向かう。自己表現の道に、つながっているのだ。つながるまでのプロセスも、おもしろい。
とあります。
こうやってブログを書いている身なので、自分が書いた文章をあとから見返す楽しさや、そこから新たなものが生まれるあの感覚は何度も体験しています。
過去の手帳をめくっていてついつい読みふけってしまった、という経験がある方も多いのでは。
そんな体験をするためには、まずはとにかく日記をつけてみること。
日付、天気。何時に起きたか。どこにいって、何をしたか。何を感じたか。
毎日寝る前に、その日のことを振り返ってつけてみる。3日坊主になっても、思い出したときに再開してつけてみる。
『800字を書く力 (祥伝社新書 102)』という本には、文章は前の行までに不足していることを補完するために書かれる、という話が出てきます。最初の数文字を(たとえそれが天気でも)書き始めてしまえば、思った以上にするするとその日の出来事が言葉になってつながっていくものです。
読んでみて、本書で著者が言いたいのは「日記は楽しいよ」の一言に尽きると感じました。いままでこの楽しさを主に「ブログ」で味わってきたので、自分の内面と向き合う、クローズドな日記のほうもまずはつけてみて、楽しさを味わってみようとおもいます。