レファレンスサービスのあるべき姿に見る仕事のヒント
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『在野研究ビギナーズ』という本をちまちま読んでいます。
この中に、図書館でのレファレンスサービスに関する話が出てきました。
レファレンスは、資料や情報を求めている人と適切な情報源を図書館員が手助けをして結びつけるサービスです。 図書館ではさまざまな質問に対して複数の資料に基づいて回答をしています。質問は、口頭・電話・文書などで受け付けます。 しかし、次のような質問は図書館では、回答できませんので、ご了承ください。 宿題・懸賞問題の解答、医療・健康相談・法律相談・身上相談・将来の予想に属する問題・古文書等の鑑定・物品の価値判断など。 なお、参考文献の紹介はできます。当館に適切な資料がない場合は、福岡県立図書館や国立国会図書館など、他館への問い合わせをしています。利用の秘密は守ります。
図書館のレファレンスサービスとは、どんなサービスですか? | レファレンス協同データベース より
つまり、図書館にいる専門家に「こういう本探してるんですけど」とか「こういう調べものをしていて、どんな本に当たればいいですかね?」と相談できるというサービスです。
私は利用したことがないのですが、本書の中でも「あんまり使わないサービスかも」というところから話題が始まっています。
本書はさまざまな在野研究者にインタビューした内容をまとめたものなのですが、その中の小林晶樹氏のパートで以下のような内容が書かれていました。
レファレンスサービスって一番華々しいのはカウンターの質問回答(利用者の質問に回答すること)なんだけど、部屋の中にレファレンスブックをうまく並べるっていうのも仕事の五割から八割くらいを占めていて。つまり、お客さんが自力で、適当な本を見て、パッて答えが出て帰ってくれればそれが一番いいのよ。代行業じゃないから。
この考え方、割と仕事のいろいろなところに通じるなと感じました。
自分も会社の中では(一応)専門家として相談に乗ることがあります。頼られるのって嬉しいですし、相談受けていると「仕事をしている感」も得られてなんとなく充実している気持ちになります。
ただ、このレファレンスサービスのあるべき姿のようなものは仕事でも同じで、頻繁に質問や相談を受けるということは、まわりが質問や相談をしないと解決できていない、とも言えますよね。
これでは本当に良い状態ではない、と。たとえば自分のナレッジを資料化して誰でも見られるようにしておくとか、調べたい人が自力で情報にアクセスして解決できる状態にしておく、みたいなことも仕事の上では重要だなと改めて感じました。
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若い頃にブログをもっと一生懸命書いていまして、そのころ学んだ概念として「ブログに働かせる」というものがあります。
当時の文脈としては、Googleの広告などを貼っておくことで、自分が日中本業の仕事をしているときや寝ているときも広告収入が得られてハッピー、的なものでした。
私はこれをもう少し拡大解釈しています。特にエンジニアの間では、ブログを書いたり、仕事中に他人のブログを見て問題解決したり、というのは当たり前になっています。 なので、自分がブログに何かエラーの解消方法や知見などを書いておくことで、知らない間に他人がそれを見て問題解決をしている、ということが起こります。
そうすると、いつのまにかひとの役に立って、いつのまにか感謝されている、というのもそれなりにあるんですよね。
今回のレファレンスサービスの話もこれに近いと思っていまして、明確に「レファレンスサービスのひとありがとう!」とは思われないかもしれないですけど、仕込みをしておくことで自分が他のことをしている間にも誰かの役に立っている状況を作れるのは強いです。特に仕事においては。
社会人も12, 3年やってきましたが、これ意識していると細かい差が積み重なっていく実感がありますね。